空き家の活用で助成を検討
空き家の増加は、多くの方が知るほどメジャーな社会問題になっています。
例えば東京都では、災害時に配慮を必要とする高齢者や障がい者をケアする介護職員のための宿舎として空き家を借り上げている介護事業者の一部家賃補助や児童養護施設出身者に対して空き家を提供する所有者に対して経費の補助に乗り出すとして予算を計上すると発表がありました。
意外かも知れませんが、全国の空き家の1割が東京都に集中しているのです。そのため東京都は多角的に空き家問題解消に乗り出しているわけです。
そして今回全国の空き家の増加を食い止めるため、国土交通省が動き出したのです。
具体的には、空き家を低所得者向けの住居として活用するものです。この住居に対して入居者には家賃補助、空き家所有者にはリフォーム費用の補助といったことが検討されているのです。
これは空き家の増加を防ぐだけではなく、同時に低所得者向けの住居が不足している問題の解消も目的にしているのです。
またリフォーム費用の補助があれば、工事を行う地域の工務店などにも経済効果が期待できるため、実現すれば幅広い地域の活性化にもつながるプロジェクトにもなるのです。
ただし放置されていた空き家では住居として問題がありますので、都道府県毎に耐震性や断熱性などの基準をもうけ、基準をクリアした空き家を登録して、入居者に斡旋するシステムが構築されるようです。
この空き家を登録して入居者に提供する流れは空き家バンクに類似しているかもしれません。
しかしこの空き家バンクは空き家問題の解消を考えた時に、いまいち活用しきれていない印象があります。今回の案は、単に空き家を斡旋するだけではなく、家賃の補助があるため、どこまで空き家の有効活用に繋がるか期待したいところです。
不動産投資をするチャンス?
それではこの空き家対策を不動産投資に活用するにはどういった点に注目すればよいでしょうか?
まず対象エリアについてですが、各都道府県毎の基準とありますので、全国の空き家が対象になることが推測されます。これは地方の空き家も投資対象になることを示唆していますので、少額の資金から不動産投資をはじめるチャンスになりえるのです。
さらに空き家の改修費用について助成が検討されているため、物件の資産価値を高める改修費用の一部を助成されるメリットは大きいと言えるでしょう。
一般的に地方での不動産投資の利回りは高いと言われていますが、空家の場合はさらに物件を安く購入できる可能性があるため、さらなる高利回りが期待できます。そして少額の投資であれば、短期間での資金回収が可能となるのです。
当然リスクもある
良いことばかり並べてきましたが、当然リスクを考える必要もあります。
まずは入居対象が低所得者という点です。家賃援助がでるといっても家賃滞納のリスクが低くなるとは言えないからです。
家賃保証会社が使えれば、ある程度リスクは回避できますが、対象が低所得者のため保証会社の審査に通るかは慎重に調査する必要はあるでしょう。
ただし今後国土交通省から家賃回収リスクを回避できるような家賃保証や代行回収といった何らかの提案がなされれば、このリスクはリスクではなくなります。
さらに気になるのが、家賃設定です。
国土交通省のアナウンスによれば周辺家賃よりも安く設定するそうです。この家賃設定は、助成を考慮した設定なのかどうか気になるところです。
最後に稼働率について。地方の不動産投資でもっと懸念されるのがこの稼働率です。当然都心と比較すると、人口が違いますので稼働率が低いことが予想されるのです。
しかし今回の対策は一般の物件ではなく、低所得者の住居不足の解消を目的としています。このことがどれくらい稼働率に影響をもたらすかは注意深く観察する必要があります。
仮に入居するのに抽選が必要なくらいの需要と供給のバランスになれば、非常の高稼働の優良物件となるめため要注目となります。
まとめ
この空き家対策の全容が明確になるのはもう少し先のため、今回の空き家対策の経過を見守る必要があります。地方での空き家を活用した不動産運用をお考えの方は、今後の国土交通省の動向に是非注目してみて下さい。
また事前準備として、興味のある地域の空き家の流通状況や相場、人口推移などを調査して、あらかじめ投資先を選定しておくことをオススメします。
そして忘れてはならないのが、低所得者向けの住居の需要と供給のバランスです。まずは投資先となる自治体の調査からはじめてみては如何でしょうか?