23区内で人口:9位、人口密度:18位、面積:7位の「葛飾区」は不動産投資に適した地域か?
今回は東京都「葛飾区」の不動産投資を分析していきたいと思います。
都内での不動産投資をお考えての方は是非お立ち寄りください。
調査内容は葛飾区の地域情報(空き家・治安・子育て)、将来人口推移、不動産価格の動向(地価・平均家賃)、賃貸需要、交通情報(路線・高速)などとなります。
葛飾区を投資先として選定する上で参考になる情報が御座いましたらご活用下さい。
では葛飾区の地域情報から見ていきましょう。
葛飾区の概要、特性
ではまずはじめに、不動産投資におけるもっとも大きなリスクのひとつである空室リスクに関連する空き家率から見ていきましょう。
空き家率の推移
葛飾区の平成25年の空き家率は11.1%で、東京都の11.1%と同等の数値であることがわかります。(平成25住宅土地統計調査より)
また平成10年からの空き家率の推移は下記の通りです。※平成25年までの5年毎
平成10年:12.1%(23320戸)
平成15年:12.4%(25620戸)
平成20年:11.8%(24130戸)
平成25年:11.1%(24960戸)
葛飾区の空き家率は、平成15年以降緩やかに下降しています。また空き家数に関しても全国的に増加傾向にある中、横ばいに近い動向となっています。
葛飾区による空き家対策は管理維持、相談業務が中心となっているようで、2017年2月現在、空き家の利活用や助成など空き家を減らす対策は確認できていません。
今度葛飾区が空き家対策に取り組む可能性は高いため、今後の動向に着目してみてはいかがでしょうか。
刑法犯認知件数の推移
不動産投資を行なう上で投資先の治安の良し悪しは、賃貸需要にも影響を与えることが考えられます。
では葛飾区は安心して暮らせる街であるかどうかの基準となる犯罪件数(刑法犯認知件数)を見ていきましょう。
過去の犯罪件数は下記になります。
平成20年:6154件
平成21年:6233件
平成22年:6224件
平成23年:5943件
平成24年:5245件
平成25年:4864件
平成26年:5613件
平成27年:4540件
平成26年を除き、年々減少傾向にあります。また平成27年は最低犯罪発生件数を記録しました。
ここ数年間の減少実績と葛飾区による防犯設備整備費助成、地域安全活動助成金制度といった防犯への取り組みにより、さらに治安の良い街になることが期待できます。
待機児童数の推移
ファミリー層を視野に入れた不動産投資を行う場合、子どもがいる世帯がメインターゲットになります。
また子育て世帯で仕事との共立を希望する世帯も増加しているため、待機児童対策は注目すべき項目でしょう。
では子育て世帯が住みやすい街であるかのひとつの指針になる待機児童について見ていきましょう。
過去の待機児童数は下記になります。
平成22年度:139人
平成23年度:145人
平成24年度:74人
平成25年度:35人
平成26年度:111人
平成27年度:252人
平成28年度:106人
平成25年度にかけてかなり減少していることがわかりますが、平成27年度にもっともおおい待機児童数となってしまいました。平成28年に入り減少に転じましたが、今後の動向には着目したいところです。
葛飾区は認可保育所、小規模保育事業などの積極的整備に注力して、平成29年度には待機児童問題解消に取り組んでいますので、来年度の動向には注目したいとろこです。
ただし現在の数値からは子育てがしやすい街とは言えないでしょう。
次に葛飾区の人口について考察していきましょう。
葛飾区の人口推移
葛飾区の人口動向について調査しました。日本人総数の直近5年と過去抜粋データが下記となります。※()は外国人登録者数。
2016年:436244人(16545人)
2015年:434558人(14969人)
2014年:434220人(13966人)
2013年:433451人(13719人)
2012年:434508人
2007年:428131人
2002年:421118人
2002年から2016年までに約4.7万人増加していて、2002年と2016年比較すると約1.07倍の人口増加が確認できます。
またもう少し長いスパンで見ると、1970年までは人口は増加していましたが、以降1980年までは減少に転じました。また1990年代は横ばいから増加が続き、現在に至ります。
また生産年齢人口は1990年をピークに2005年までは減少しましたが、以降2010年まで増加に転じました。しかし現在はまた減少に転じています。
では今後の人口推移はどうでしょうか。下記は国立社会保障・人口問題研究所による2020年~2040年までの葛飾区の人口将来推計となります。
2020年:423440人
2025年:408976人
2030年:392719人
2035年:375487人
2040年:357542人
現在まで増加が続いた人口も、2020年にはすでに減少することが見込まれています。減少傾向は2040年も同様で、減少の幅も大きく、何らかの人口問題対策が必要なっています。
2020~2040年の20年間で約6.6万人の人口減少で、2020年と比較して15%以上も大きな減少する予測となります。
また生産年齢人口も同様の動きで、2040年には2010年の65.9%からマイナス10%の55.6%となることが予想されています。反対に老年人口は2010年の22%からプラス10.1%の32.1%となることが予想されています。
しかしこの好ましくない傾向は2040年で止まり、2060年までは悪化することなく現状維持することが予想されています。
これら将来人口推移から判断すると、葛飾区は人口問題に直面することが予想されます。
しかし葛飾区では葛飾区総合戦略を策定して「街づくりの推進、子育て支援、産業の活性化と地方都市との連携」に取り組むため、これにより数値がどれだけ改善されるか注目したいところです。
葛飾区の不動産価格
次に葛飾区の不動産価格の動向について見ていきましょう。
まず葛飾区の地価は、東京都内29位、全国32位となっています。
最も高い坪単価は1991年の約282万円でしたが、2016年現在は40%程度の109万円前後で推移しています。
では最近の地価の変動を見てみましょう。
2006年から2008年の3年間の地価は上昇しています。特に2007年(9%以上)、2008年(6%以上)とバブル以降最大の上昇率となりました。
その反動もあってか翌2009年と2008年は4~5%の下落になりましたが、2010年から2016年に至るの6年間は大きな変動はなく、上昇と下降を繰り返してきました。
なお葛飾区の2016年の地価は前年比マイナス1%と現状維持に近い数値で下降で、葛飾区を14エリアに分割した地域別の2016年データでも、8/14と半数以上のエリアで地価が下降しました。
なお坪単価の最高値は新小岩エリアの約122万円(前年比約1.8%DOWN)、最安値は保谷エリア(前年比約1.2%DOWN)の約69万円となります。その差は1.8倍弱と地域の格差はあまり見られません。
2016年に葛飾区で地価が大きく上昇した地域なく、お花茶屋エリアの約3.1%が最高数値でした。
また下降した地域は新小岩、京成立石、亀有、青砥など8エリアとなります。
2016年に葛飾区で地価が大きく下降した地域なく、目立った地域は亀有(2.2%)、青砥(2.1%)、京成高砂(2.2%)の3エリアになります。
葛飾区の平均地価は約109万円ですが、最高値と最安値の地域差が53万円程度となっていて、価格格差は23区内で最も少ない区となります。
葛飾区は23区内で最も地価格差が少ないからこそ、投資先の選定には注意が必要になります。なぜなら同じ資金でより利便性が高く、資産価値があるエリアの物件に投資することで、費用対効果の高い投資が見込めるからです。
そのため投資先の選考は、地域をより細分化して調査する必要があります。現地に赴き、周辺環境を調査することも有効にあります。
また開発により人口増加が見込める地域を調査して、将来的な賃貸需要を予測して投資することで、安定した不動産運用が可能になるでしょう。
賃料相場は都内27位で地価の29位とほぼ同じランクのため、高利回りを見込める割安感のある物件は少ないと言えますが、葛飾区は地価自体が割安なため、エリアによっては高利回り物件を発掘することも可能でしょう。
葛飾区での投資物件探しは、細分化したエリア分析・調査がポイントとなり、相場以上の賃料で運用できる安い物件を見つけることが課題となります。
葛飾区の交通・アクセス
では葛飾区の電車状況はどうなっているでしょうか?
葛飾区には12の駅があり、JRと私鉄の利用が可能です。
まずはJR。JRは総武線、総武本線、常磐線の利用が可能です。
停車駅は下記となります。
・総武線、総武本線:新小岩駅
・常磐線:亀有駅、金町駅
次に私鉄。私鉄は京成本線、京成押上線、京成金町線、成田スカイアクセス、北総鉄道北総線の利用が可能です。
停車駅は下記となります。
・京成本線:京成高砂駅、青砥駅、堀切菖蒲園駅、お花茶屋駅
・京成押上線:京成立石駅、京成高砂駅、青砥駅、四ツ木駅
・京成金町線:柴又駅、京成高砂駅、京成金町駅
・成田スカイアクセス:京成高砂駅
・北総鉄道北総線:京成高砂駅、新柴又駅
複数路線が利用できる駅は、新小岩駅、金町駅(京成金町駅)、京成立石駅となります。
葛飾区で行う不動産投資の将来性
これらのデータを元に葛飾区は不動産投資エリアとしては適しているのか考察してみましょう。
まず人口から。
国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば、葛飾区の人口は2020年には減少に転じることが予測されています。
さらその割合も大きく、2040年には15%以上の減少が予想されています。また人口問題とともに社会問題となる少子高齢化も加速していくことが見込まれています。
ただし2040年から先の2060年までの生産年齢人口と老年人口の推移はほぼ横ばいとなるため、悪い流れは一旦途切れるようです。
では交通に関してはどうでしょうか?
葛飾区に地下鉄はありませんが、その分京成線が発展しているjのが特徴です。またJRの利用もできるため、利便性が高い地域と言えます。新宿、秋葉原といった都心へのアクセスはもちろん、千葉方面へのアクセスも良いのが特徴です。
また複数路線が利用できる新小岩駅、金町駅(京成金町駅)、京成立石駅がありますが、多くの京成線が利用できる京成立石駅、JRと京成線が利用できる金町駅(京成金町駅)は利便性が高い駅となっています。
地価に関しては、23区内で下位グループに位置するのが葛飾区です。また平均賃料に関しても23区内で下位グループに属し、地価とほぼ同じランクとなります。
葛飾区の地価の特徴として、地域による格差が非常に小さく、 JRが利用できる新小岩、 亀有エリア、複数の京成線が利用できる京成立石エリアが地価が高くなっています。
また最近話題の民泊ビジネスの状況については、葛飾区のエアビーアンドビー登録数は23区内で下位に位置し、同様に稼働率も低いエリアとなり、民泊が盛んに行われているエリアとは言えません。
葛飾区の不動産投資
以上、葛飾区の特性、人口、交通、地価について調査してきました。
これらの情報を要約すると小平市は・・・
- 葛飾区の人口は、今後緩やかな減少に転じる。
- 少子高齢化、核家族化が進行。需要のある間取りに着目。
- 葛飾区の地価は上昇傾向にあり、地域格差は少ない。
- 空き家率は年々改善されているが、行政による積極的な取り組みは確認できていない。
- JRと私鉄の利用で都心へのアクセスはに良い。
- 待機児童対策はこれからに期待。
- 犯罪件数は減少傾向にあるため治安は良い。
となります。
着目するポイントや重要視するポイントは人によって異なりますが、小平市は不動産投資エリアとして面白い地域と言えるのではないでしょうか?
※葛飾区、国立社会保障・人口問題研究所、土地代データ、平成25年住宅・土地統計調査を参考に記事を作成しています。