
不動産投資を考えたとき、どこのエリアに投資物件を購入するか悩まれる方も少なくないでしょう。
また投資エリアを選定をするときには、地域特性、人口・地価の動向、住環境・治安、交通などの調査は行ないたい事項です。
そこでこのページでは「川崎市多摩区」について以下の項目について調査を行いました。
- 地域情報(空き家の状況・治安・子育て環境)
- 人口(人口推移・将来人口)
- 不動産価格の動向(地価・平均家賃)
- 賃貸需要・資産価値
- 交通情報(路線・高速)
- その他
多摩区で不動産投資をお考えの方に役立つ情報が御座いましたらご活用下さい。
多摩区の概要、特性
投資エリアの空き家状況を知ることで、不動産投資最大のリスクである「空室リスク」をある程度回避することにつながります。
不動産を運用する上で、安定した家賃収入は必須条件だからこそ、投資エリアの空き家状況を把握しておくと良いでしょう。
では多摩区の空き家率の推移をみていきましょう。
空き家率の推移
多摩区の平成25年の空き家率は12.7%と、神奈川県の平均:11.2%よりも高い数値となりました。(平成25住宅土地統計調査より)
また平成10年からの空き家率の推移は下記の通りです。
平成10年:11.8%(11010戸)
平成15年:10.6%(10650戸)
平成20年:11.8%(13270戸)
平成25年:12.7%(15450戸)
多摩区の空き家件数、空き家率ともに平成15年以降、増加を続けています。
この数値は川崎市内でも高い数値となります。
川崎市は積極的な空き家対策をスタートしたため、今後の空き家状況の改善に期待してみましょう。
刑法犯認知件数の推移
安定した賃貸需要を望むのであれば、住環境や治安は大切な条件となります。
治安の悪い地域は、高い賃料を見込むことも難しく、賃貸需要の低下も考慮しなくてはなりません。
そこで住環境や治安の良し悪しの基準として、犯罪件数(刑法犯認知件数)と定住意向を見ていきましょう。
まずは犯罪件数から。
下記は過去の犯罪件数となります。
平成23年:1,655件
平成24年:1,394件
平成25年:1,463件
平成26年:1,328件
平成27年:1,178件
多摩区の刑法犯認知件は減少傾向にあり、平成27年には1,338件(-1,178件/29%)減となっています。
また平成28年度かわさき市民アンケート(第2回)の定住意向については、
「定住派:68.7%、移住派:10.6%」となり、移住派の転居理由として住環境(治安・騒音・日照など)の悪さをあげた回答は、36.8%となっています。
防犯上・風紀上の安心感について生活環境の満足度は、肯定派は60.9%と多摩区平均:55.4%よりも高い数値となりました。
多摩区の不動産価格
キャピタルゲインを主にした不動産投資は現在では難しいですが、売却を考えた投資物件の選定はおこないところです。
今後の地価を予測するためにも、バブル期以降の不動産価格の動向を把握して損はないでしょう。
では、多摩区の地価の動向を見ていきましょう。
多摩区の地価は、神奈川県内14位、全国83位となっています。
最高坪単価は1989年の350万円、2016年現在は最高値の24%程度の83万円となっています。
現在までの地価動向
では最近の地価の変動を見てみましょう。
1992年以降、多摩区の地価は下降を続けましたが、2006年(0.54%)、2007年(6.48%)、2008年(7.01%)の3年間は上昇となりました。
しかし再び2009年~2013年は下降に転じました。
また2014年以降は2014年(1.99%)、2015年(1.64%)、2016年(-0.59%)と穏やかな動向となっています。
では地域別(区別)の動向を見ていきましょう。
上昇した地区
登戸エリア(3.48%)
下降した地区
読売ランド前エリア(-5.05%)、向ヶ丘遊園エリア(-1.67%)、稲田堤エリア(-0.86%)、生田エリア(-0.25%)、宿河原エリア(-0.22%)、中野島エリア(-0.01%)
下降したエリアが多数となりました。
賃料相場
では多摩区の家賃相場はどうなっているでしょうか?部屋のサイズ別に見ていきましょう。
ホームズ家賃相場情報によると、下記ととなります。
1R~1DK:22位
1LDK~2DK:17位
2LDK~3DK:18位
3LDK~4DK:23位
すべての間取りで、地価の順位を下回っています。
多摩区の交通・アクセス
では多摩区の交通状況をみていきましょう。
多摩区には8の駅があり、JRと京王線、小田急線の利用が可能です。
JR南武線:登戸駅、稲田堤駅、中野島駅、宿河原駅
京王相模原線:京王稲田堤駅
小田急小田原線:登戸駅、生田駅、読売ランド前駅、向ケ丘遊園駅
複数路線が利用できる駅は登戸駅、稲田堤駅(京王稲田堤駅)となります。
多摩区の人口推移
人口が賃貸需要に与える影響は少なくありません。
人口が減少すれば賃貸需要が減少しますし、人口が増加すれば賃貸需要は増加します。
それでは現在に至るまでの多摩区の人口動向を見ていきましょう。
現在までの人口状況
最近3年間の人口は、2015年:214,240人、2016年:214743人、2017年:215850人となっています。
また1990年から2010年までの5年毎の人口推移は下記となります。
人口推移
1990年:175,570人
1995年:187,042人
2000年:196,637人
2005年:205,389人
2010年:213,894人
1世帯あたりの人員(一般世帯)
2010年:2.06人
2015年:2.01人
多摩区の人口は、2017年現在も緩やかな増加を続けています。
また1990年からの推移をみると、40280人(1.23倍)増加しています。
今後人口推計
では今後の人口推移はどうでしょうか。
下記は国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)による2020年~2040年までの多摩区の人口将来推計と年齢3区分別人口(割合)となります。
◯社人研による将来人口推計※2020年~40年の5年毎
2020年:222867人
2025年:223722人
2030年:223034人
2035年:220719人
2040年:216703人
◯社人研による年齢3区分別人口※2020年~40年の5年毎
年少人口:11.2%→10.5%→9.8%→9.4%→9.1%
生産年齢人口:67.4%→66.5%→64.7%→61.9%→58.7%
老齢人口:21.4%→23.0%→25.4%→28.7%→32.2%
多摩区の人口はピークは2025年に迎え、2040年までに6164人の減少が見込まれます。
また年齢3区分別人口を見ると、現状の傾向が続きさらに少子高齢化が進行することが予測されています。
次に多摩区による将来人口を見ていきましょう。
◯多摩区による将来人口※2035年までの5年毎
2020年:213,700人
2025年:212,000人
2030年:210,000人
2035年:207,200人
2040年:201,600人
◯多摩区による年齢3区分別人口※※2035年までの5年毎
年少人口: 10.7%→9.8%→9.2%→8.5%→8.2%
生産年齢人口:67.8%→67.2%→65.7%→63.6%→60.8%
老齢人口:21.5%→23.0%→25.1%→27.9%→31.0%
多摩区による将来人口では、ここ数年の内に人口のピークを迎え、以降は緩やかな減少となります。
多摩区で行う不動産投資の将来性
これらのデータを元に多摩区が不動産投資エリアとしては適しているか考察していきましょう。
不動産投資と人口問題
各データをまとめると下記になります。
社人研のデータ:25年が人口のピーク。以降は緩やかなに減少。
多摩区のデータ:ここ数年が人口のピーク。
将来的に人口は減少に転じますが、緩やかな減少のため、深刻な人口問題が起きる可能性は低いでしょう。
また賃貸需要への影響も少ないと考えられます。
不動産投資と交通
では多摩区の交通に関してはどうでしょうか?
登戸駅から渋谷駅まで21分、新宿駅まで21分ほどですので、通勤や通学の利便性の高い地域となります。
不動産投資と不動産価格
では不動産価格をみていきましょう。
多摩区の神奈川県内でのランキングは地価は14位、平均賃料は17位(~23位)となります。
すべての間取りが、地価よりも低いランクとなっています。
またエリア別の地価を見ると、最高値の武蔵小杉(268万円)と最安値の武蔵新城(107万円)と2.5倍程度となります。
2016年の取引では、向ヶ丘遊園駅周辺で235万円、161万円、生田駅周辺で130万円と高値での取引が確認できます。
多摩区の不動産投資
以上、多摩区の特性、人口、交通、地価について調査してきました。
これらの情報を要約すると多摩区は・・・
- 多摩区の人口のピークは2025年頃。
- 高齢化の進行が今後も予想される。
- 登戸駅周辺の地価は高いが、それ以外の地域の格差は少ない。
- 多摩区の空き家率・空き家件数は悪化傾向。
- 都心(渋谷・新宿方面)へのアクセスは良い。
- 犯罪発生件数は減少傾向。
- 定住意向については、定住派が移住派よりも6.5倍ほど多い。
となります。
着目するポイントや重要視するポイントは人によって異なりますが、多摩区は不動産投資エリアとして面白い地域と言えるのではないでしょうか?
※多摩区、国立社会保障・人口問題研究所、土地代データ、平成25年住宅・土地統計調査を参考に記事を作成しています。