
媒介契約の種類
不動産を売却するときに、個人で不動産の売買を行うことは法的にまったく問題はありません。
例えば親子間・兄弟間や友人・知人への売却であれば、わざわざ不動産業者に依頼するまでもないでしょう。
しかしこういったケース以外では、自分で不動産を買ってくれる人を見つけたり、複雑な契約事務作業を行ったりするのは難しいものです。
一般に売買する場合は、やはり不動産会社へ依頼することになります。
不動産屋会社に依頼する時には、必ず不動産会社と媒介契約を締結しますが、この契約には大きく分けて3つの種類があります。
では、媒介契約にはどのような種類があるのかをご説明します。
専属専任媒介契約
一つ目の種類は専属専任媒介契約です。仲介をただ一つの不動産会社にだけ依頼する契約です。
ほかの不動産会社に重ねて仲介を依頼することは絶対にできません。
そして自分で見つけてきた相手方でも、契約した不動産会社を通して取引する必要があります。
例えば親せきや友人が売買取引をしたいと自分に直接言ってきたときでも、契約をした不動産会社を仲介してでなければ契約できません。
専属専任媒介契約は依頼者に対して強い拘束力を持つ契約となります。
この契約のメリットは、比較的に売却までのスピードが速いという点です。
依頼を受けた不動産会社は、契約した日から5日以内に指定流通機構、レインズと呼ばれる全国の不動産データーベースに物件を登録しなければなりません。
そのために、物件の情報がすぐに全国の不動産会社で共有されます。結果、直接依頼を受けていない会社も不動産購入を希望するお客様に対して、自分の物件を紹介することができるので、早めの売買が成立するのです。
デメリットは、売買を依頼できるのが契約をした不動産会社一社にだけ限られてしまうということです。
先に述べたように、仮に良い条件で、後から物件の買い入れなどを申し込まれても、契約した会社を通してでしか売買することができません。
専任媒介契約
二つ目は専任媒介契約です。
専属専任媒介契約とほぼ同じような契約になりますが、自分で見つけてきた相手方とは自由に取引してもいいというのが大きな違いです。
メリットとしては、専属専任媒介契約で認められていない、いわゆる自己発見取引が認められていますので、良い条件を提示してきた相手と売買することができます。
デメリットとしては、複数の不動産会社への依頼ができなくなります。
しかし、この点については、逆に物件の窓口が一本化されるので、売却がスムーズに行きやすいと考えられます。
一般媒介契約
最後は一般媒介契約です。
これはいくつもの不動産会社に同時に仲介を依頼することができる契約です。
そしてこの契約には明示型と非明示型という二つの種類があります。
明示型は、ほかのどんな不動産会社と契約しているのかを相手の会社に伝えなければなりませんが、非明示型はその必要がありません。
この一般媒介契約のメリットはあまり制限がなく自由に誰とでも売主が取引できるというものです。
デメリットは、契約をした複数の会社の間で競争原理が働き、売却を急ぐあまり、相場より低い値段で売買が成立してしまうということです。
また反対に、他社も動いているのだからと考えて、真剣に取り組んでくれないという恐れもあります。
それぞれの契約には特色がありますので、自分の意向を不動産会社に伝えたうえで、よりニーズに合った媒介契約を締結することにしましょう。